JIS2004フォントが一般的になるまでの各方面での時差/執筆と編集とデザイナーと印刷と

これから気をつけなければならない問題の前置き

Vistaの一般発売から1年、MicrosoftはXPを2009年1月末で出荷終了予定、AppleClassic環境を持たないLeopardが先日発売されました。

Windows Vista、およびMac OS X 10.5 LeopardJIS2004(JISX0213:2004)対応のフォントが搭載されています。

JIS2004フォントとそれ以前のフォントを持ったPCの、単純末端ユーザーとしての差は、使える文字が増えていることと、字形変更を行ったものがある(経済産業省発表のJIS漢字コード表の改正について)ということです。

追加変更された文字は、もともと使われる割合が少ないので妥協させられていた文字、という言い方ができます。それが、PCの普及とともに、固有名詞であったり、動詞であったり、使う側の差別化が要求されるようになり、経済産業省が改正するところまできました。

ただし、文字が増えているのは全部のフォントについてではありません。現在のところ、Windowsで言えば、MSなんとか、という名前のついた、Windowsがシステムや画面表示にも一般的に使っているフォントだけです(とりあえずWindowsの場合)。

これでも説明が足りないのですが、とりあえず上記の長ったらしい前置きをしておきます。

JIS2004で追加された文字が使われた文書をJIS90のみのPCで開いたら

単純に、文字抜けのように、一文字分のスペースができてしまいます。
アプリケーションによっては、JIS2004のフォントを使った部分全体が表示されないこともあります(この件は別に書きます)。
また、JIS90フォントでは、JIS2004の追加文字は変換入力ができません。字形変更文字は、前の字形のまま表示印刷されます。

JIS90を使っている文書をJIS2004のフォントのPCで開いたら

同じ文字コードを持つ字形変更の文字は、新しい字形で表示されます。固有名詞や地名で、JIS90の字形が正しく使われていても、問答無用に新字形になります。

はっきりわかる字形変更は122文字です。どのような変更かというと、しんにょうの点が1つから2つにされたり、「しめすへん」が「ネ」形から「示」形になったりなので、詳しくはこちらの資料でご確認ください。

これらの混在によって起きると思われる事故

現状、DTP組版上でJIS2004のMSファミリーフォントを使用していることはないと思いますが、それ以前のテキスト段階で事故が予想されます。

  • 入力・執筆者のテキストで指定してある字形と、編集・校正・出力の各所でそれぞれが表示出力している字形に違いが起きているのに気づかず校了印刷される。
  • Illustrator10.x以下、Photoshop7.0以下などのCS以外のAdobeアプリで、JIS2004フォントが表示されないものがあるので、画像修正の際に文字を飛ばしてしまう。
  • Webでは、当然のことながら個人個人のPCに入っているフォントでブラウザ表示が行われる。
  • Webのアンケートやフォーム送信などでJIS2004追加文字(字形変更ではなく)を送信・表示できない(ことがある)。これは、受け入れ側のシステムがJIS2004の変更に対応できないことがあるため。(これも別記します)

ありがちな例としては、市町村名や社名、個人のお名前などでどちらの字体を使っているのか、テキストデータだけでは判断できなくなるということです。

また、事故ではありませんが、IllustratorCSは環境依存文字の設定をせずにJIS2004フォントを使用すると、フリーズすることあります。

JIS2004フォントがどこ(誰)から一般的に使われはじめるか

何も知らない一般の方々から使われはじめてしまうと考えます。今後新規にPCを購入する方の多くは、VistaもしくはLeopardを購入するでしょう。特にVistaの場合はそもそもJIS2004フォント搭載なので、単純にWordやテキストエディタを開いても、メールであっても、JIS2004で書かれていることになります。

Leopardは、部分的にヒラギノ書体でJIS2004に対応していますが、詳細が発表されていないことと、システムフォントではないことで、今のところ影響は低いでしょう。

また、Microsoft Updateで、XPに何気なくJIS2004対応フォントをインストールして(されて)しまった方も既にいると思います。

印刷や、フォント業界や、DTP、Webのシステムなど、中央が検証する前に、JIS2004フォントは末端から流れてきています。
これらをセーブしながら、作業をすることが、文字にかかわる、公的文書となるもの、出版物となるもの、開かれた文書となるものを作る人間には必要となります。

Windows Vistaで IME の変換候補に Shift-JIS で構成される文字だけを表示する方法

一太郎2007やワープロ製品の対応

さりげなくJIS2004に対応していました。辞書系、ワープロ系も要注意です。
「JIS X 0213:2004」に対応